Codonopsis pilosulaの効能・特徴・使い方と注意点

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Codonopsis pilosula (Franch.) Nannf.

中医学(伝統中国医学)において、Codonopsis pilosulaは最も評価の高い補益の根のひとつであり、国際市場では「dang shen」という市場名で取引され、アジアの人参(高麗人参)より手頃な代替品として紹介されることも多い。伝統的な文献では、疲れやすさ、食欲不振、呼吸の弱さに用いられてきた。中医学はこれらを脾と肺の気虚と解釈しており、免疫系や消化機能を支える目的でもこの根を用いる。根にはアルカロイド、サポニン、ポリアセチレン、多糖類が含まれ、実験室研究や動物実験ではこれらの成分群と免疫調節作用、抗酸化作用、抗炎症作用との関連が示されている。ただし、伝統的な用途の多くは、ヒトを対象とした臨床試験でまだ確認されていない。

19世紀の百科事典風の植物図に描かれたCodonopsis pilosula。円柱状の根、細いつる性の茎、卵形の葉、内側に紫色の斑点がある黄緑色の鐘形の花。
長く円柱状の根をもつ多年生のつる性草本で、内側に紫色の斑点がある黄緑色の鐘形の花をつける。

一般名と国際名

  • 日本語: ヒカゲノツルニンジン(標準和名)、党参(トウジン、生薬名)。
  • イタリア語: Dangshen、Ginseng dei Poveri。
  • 英語: Bonnet Bellflower、Dangshen、Poor Man’s Ginseng。
  • スペイン語: Dangshen、Ginseng de los Pobres。
  • 中国語: 党参(Dǎngshēn)、川党参(Chuān Dǎngshēn、tangshen型に用いられる名称)。
  • ドイツ語: Arme-Leute-Ginseng、Dangshen。
  • フランス語: Dangshen、Ginseng du Pauvre。
  • ポルトガル語: 定着した一般名はない。市場では「dang shen」の名で流通しており、ここでは市場での呼称として挙げるにとどめる。

本記事では、学名のCodonopsis pilosulaを主名称として用いる。日本語では標準和名のヒカゲノツルニンジンと生薬名の党参が知られている一方、英語の愛称poor man’s ginsengを直訳したような呼び名は、一般的な名称として定着していない。また、bellflower rootのような総称も本種と同一視すべきではない。市場では、キキョウ(Platycodon grandiflorus)など同じ科の別の植物を指すことが多いためである。

学名上の異名

  • Campanumoea pilosula Franch.(基礎異名)。
  • Codonopsis tangshen Oliv.(亜種Codonopsis pilosula subsp. tangshenとして扱われる)。

本種はもともとフランスの植物学者アドリアン・フランシェによってCampanumoea属の種として記載され、のちにナンフェルトによってCodonopsis属に移された。学名に添えられる略記(Franch.) Nannf.は、この経緯を示している。一方、イギリスの植物学者ダニエル・オリヴァーが提唱したCodonopsis tangshenは、近年の分類学的改訂では亜種Codonopsis pilosula subsp. tangshen (Oliv.) D.Y.Hongとして扱われ、文献ではvar. tangshenとしても登場する。中国薬典では、典型的なCodonopsis pilosulaおよびその変種modestaと並ぶ、生薬Codonopsis Radixの独立した基原のひとつとされている。

近縁ながら別属であるCampanumoea属との関係には、実用上の意味がある。この属の種は市場でCodonopsis pilosulaと取り違えられることがあり、根を購入する際は、原料の植物学的な同定を明示している供給元を選ぶことが重要になる。

科:キキョウ科(Campanulaceae)

キキョウ科は約84属、2,300種以上を含み、主に温帯から亜熱帯にかけて分布する。鐘形の花が特徴で、その多くは目を引き、送粉者を引き寄せる。根にイヌリンを蓄える植物が多く、薬理学的に興味深いアルカロイドを生成する系統もあることから、植物化学の研究で注目を集めている。

Codonopsis pilosulaは、近縁の植物と鐘形の花および貯蔵根を共有している。本種の根は長く円柱状で肉質であり、この根が薬用として利用される部分である。この科の化学的多様性は、複数の種の薬理学的・民族植物学的な応用可能性を評価する研究で探究されており、結果を比較するうえで正確な分類学的同定が基本条件となる分野である。

茶や調製に用いる部位

  • 根(Codonopsis Radix)、乾燥させて薄切りにしたもの。

根は薬用として確立した利用がある唯一の部位である。収穫後に乾燥させ、薄切りや小片に切り分けたものが煎じ液、スープ、煮込み料理に使われるほか、国際市場で販売されるエキス、チンキ、カプセルの原料にもなる。

民族植物学的・伝統的用途

  • 過度の口渇と体内の熱。中国の伝統が糖尿病と結びつける状態だが、処方された医学的治療の代わりにはならない。
  • 加齢、記憶、学習。予備的な研究で検討されているにとどまるテーマ。
  • 気血の不足と顔色の青白さ(中国の伝統による)。
  • 呼吸困難と虚弱に伴う咳(虚弱性の咳)。伝統文献の記述による。
  • 心血管系の不調。中国の伝統処方の構成生薬として用いられるが、循環器科での経過観察の代わりにはならない。
  • 体液の不足と口渇(中医学独自の用語による)。
  • 低血圧。臨床的な確認がまだない伝統的用途。
  • 動悸と息切れ(伝統的に気虚と関連づけられる場合)。
  • 脾と肺を補う働き(補脾益肺)。中医学がこの根に認める中心的な機能。
  • 病後の養生。伝統的な中国の食養生で、スープや煎じ液の滋養食材として用いられる。
  • 疲労と食欲不振。中医学では脾の気虚によるものとされる状態。
  • 慢性萎縮性胃炎と胃潰瘍。ラットで保護作用が観察されている伝統的用途。
  • 養血・生津(血を養い、体液を生む働き)。中医学独自の表現。

薬用特性

  • アダプトゲン作用(ストレスに対して体を支えるとする伝統的な記述で、臨床的な裏付けはない)。
  • 胃保護作用(誘発させた胃潰瘍に対する保護作用がラットで観察されている)。
  • 血糖降下作用(予備的な研究で血糖値の低下が観察されており、糖尿病の薬を使用している場合は注意が必要)。
  • 抗ウイルス作用(実験室研究で検討されている)。
  • 抗炎症作用(実験室研究および動物実験で観察されている)。
  • 抗菌作用(実験室の試験で活性が観察されている)。
  • 抗酸化作用(フリーラジカルに対する活性が実験室で観察されている)。
  • 抗増殖作用(実験室研究で活性が観察されているが、臨床的な裏付けはない)。
  • 神経保護作用(前臨床研究で検討されている)。
  • 心臓保護作用(動物モデルで検討されている)。
  • 補気作用(生命力に関わる中医学の概念)。
  • 免疫調節作用(根の多糖類を用いた研究で免疫系の調節が観察されている)。

これらの特性の大半は、細胞や動物を用いた抽出物や単離画分の実験に基づくものであり、その結果がヒトによる根の摂取にそのまま当てはまるわけではない。したがって、いずれの特性も、医学的治療の代わりに本植物を用いる根拠にはならない。

フィトケミカルプロファイル

  • アトラクチレノリド(例:アトラクチレノリドIIおよびIII)。
  • アルカロイド(例:コドノプシン、および根から単離されたβ-カルボリン系アルカロイドのペルロリリン)。
  • サポニン。
  • ステロイド。
  • 多糖類(水溶性画分で、根の成分のなかで最も研究が進んでいる)。
  • タンニン。
  • トリテルペン。
  • ポリアセチレン(例:ロベチオリン)。

近年の研究の大部分は多糖類に集中しており、その組成や根の品質との関係が調べられている。一方、ペルロリリンは1980年代の終わりにはすでに本種から報告されていた。定量核磁気共鳴法もCodonopsis Radixの品質評価に応用されており、同じ商品名のもとで複数の分類群に由来する根が流通する市場では、有用な手段となっている。

調製方法(茶、チンキ、エキス)

  • カプセル剤・錠剤(根の粉末またはエキスを使用)。
  • 乾燥根の煎じ液。
  • 水抽出エキス・エタノール抽出エキス。
  • スープや煮込み料理(伝統的な中国料理)。
  • チンキ剤。

煎じ液が古典的な形態とされるのは、硬い根の薄片から成分を引き出すには長時間煮出す必要があるためである。一方、カプセル、エキス、チンキは製造元によって濃度が大きく異なるため、表示に従い、医療専門家の助言のもとで使用すべきである。

他の植物との相乗効果

黄耆(Astragalus membranaceus)

Codonopsis pilosulaと黄耆は、中国の伝統において気を補うための最も一般的な組み合わせのひとつである。どちらの根も補益薬とみなされ、長引く疲労、抵抗力の低下、病後の養生の時期に伝統的に用いられてきた。両植物の多糖類は、免疫応答への影響について実験室研究や動物実験で調べられているが、ヒトでの相加的な効果を断定できる臨床試験は存在しない。

甘草(Glycyrrhiza uralensis)

Codonopsis pilosulaと甘草の組み合わせは中国の処方では古典的なもので、甘草は伝統的に、ほかの生薬の作用を調和させ、この根に帰せられる消化器への補益作用を補完する役割を担う。中医学の考え方では、この組み合わせは疲労や消化の鈍さを対象とした処方に登場するが、甘草には独自の制約がある。長期の使用で血圧が上昇し、血中カリウムが低下するおそれがあるため、高血圧の人には特に注意が必要である。

高麗人参(Panax ginseng)

Codonopsis pilosulaは英語でpoor man’s ginsengとして販売されているが、両者の根は、著しく衰弱した状態を対象とした伝統処方で併用されることもあり、その場合、高麗人参はより力強いとされる補益作用を担う。高麗人参にも血糖値を下げたり抗凝固薬と相互作用したりする可能性があるため、糖尿病の薬や血液をさらさらにする薬を使用している人は、この組み合わせにいっそうの注意が必要である。

レシピと利用法

乾燥根の伝統的な煎じ液

材料: 伝統的な文献では、Codonopsis pilosulaの乾燥根10から30 gに対し、水500 mlとされている。

作り方: 根を弱火で30から45分煮出してこし、煎じ液を1日のうちに2回または3回に分けて飲む。これは気虚に伴う疲労、息切れ、全身の衰弱に伝統的に用いられてきた方法である。中国の実践では、黄耆などほかの補益の根と組み合わせて煎じることが多く、量と使用期間は医療専門家と相談して決めるべきである。糖尿病の薬を使用している人は、特にこの点に注意したい。

伝統的なスープ(Codonopsis pilosula入り)

材料: Codonopsis pilosulaの根15から20 g、鶏肉または赤身肉500 g、好みの野菜(じゃがいも、にんじんなど)、塩、こしょう。

作り方: 鶏肉または肉を煮込んでいる鍋に根を加え、すべての材料がやわらかくなるまで火にかける。伝統的な中国の食養生では、このスープは病後の養生期や疲れがたまったときの補益の一品として供され、根のやさしくほのかな甘みが肉や野菜とよく合う。

上記の調製法は伝統的な記録に基づくものであり、専門家の助言に代わるものではありません。内服される前に、本記事に記載されている禁忌および相互作用をご確認ください。

関連する療法

中医学(伝統中国医学)

中医学においてCodonopsis pilosulaは主要な補気薬のひとつに数えられ、脾と肺の虚証に伝統的に用いられる。この体系では、これらの虚証は長引く疲労、食欲不振、下痢、息切れ、咳として現れるとされる。作用は穏やかと考えられており、そのため伝統的には、ほかの生薬を調和・補完する目的で複合処方に組み込まれる。いずれも個別の処方の範囲内で行われるものであり、医師による経過観察に代わるものではない。

中国の伝統的な食養生

診療の場を離れても、この根は中国の家庭で作られるスープや煮込み料理によく使われる食材である。伝統が認める補益の役割と、やさしくほのかな甘みの両方が評価されており、こうした料理での利用は、アジア食品の流通で広く見かける理由のひとつでもある。

禁忌と副作用

一般的な禁忌

中医学によれば、Codonopsis pilosulaは体内に熱や火が過剰な状態や、高熱を伴う急性の状態には適さず、寝汗や口の渇きなど熱の兆候を伴う陰虚のある人も避けるべきである。本植物を処方された医学的治療の代替として使用してはならず、継続して使用する場合は必ず資格のある医療専門家に相談する必要がある。

妊娠・授乳中および小児

妊娠中および授乳中の安全性に関するデータは不十分であるため、これらの期間にはCodonopsis pilosulaの使用を避けることが推奨される。小児での使用に関する研究も不足しており、この年齢層で用いる場合は、小児科医による個別の判断が前提となる。

副作用

根は通常よく忍容されるが、非常に多量に摂取すると腹部の膨満感や張り、下痢を起こすことがある。また、まれではあるものの、キキョウ科の植物に過敏な人ではアレルギー反応も起こりうる。少量から始めて体の反応を観察し、何らかの有害な作用が現れた場合は使用を中止して医療機関を受診することが勧められる。

薬物相互作用

血糖降下作用の可能性があるため、糖尿病の薬を使用している人は、低血糖が相加的に生じるリスクがあることから注意が必要であり、医師が薬の用量を見直さなければならない場合もある。研究で観察された免疫調節作用からは免疫抑制薬への干渉の可能性が示唆されており、抗凝固薬や降圧薬を使用している人も、望ましくない相互作用を避けるため、使用を始める前に医療専門家に相談すべきである。

植物学的な同定と取り違え

Codonopsis pilosulaは、近縁ながら別属であるCampanumoea属の種と市場で取り違えられることがあり、「dang shen」という名称自体も、中国では複数のCodonopsis属の分類群に用いられている。そのため、根は学名と原料の産地を明示している供給元からのみ購入するのが望ましい。種の取り違えは、作用の予測可能性と摂取する人の安全性の両方を損なうためである。

豆知識

英語の愛称poor man’s ginsengは各国語に同様の訳語を生んだが、もともとはこの根が中国医学でPanax ginsengの安価な代用品として使われてきたことに由来する。伝統的に、似ているがより穏やかな補益作用をもつとされてきたためである。中国名の党参は、現在の山西省にあった古い地域「上党」にちなむ名で、この地は歴史的に本植物と結びつけられてきた。根は中国料理にも取り入れられ、やさしくほのかな甘みを生かしてスープや煮込み料理に使われている。診療の場と食卓の両方で親しまれてきたことが、この根をアジアの生薬療法の柱のひとつにし、国際的な生薬取引でもありふれた品目にした。

よくある質問

Codonopsis pilosulaとは何ですか?

Codonopsis pilosulaは東アジア原産のキキョウ科の多年生つる性草本で、その乾燥根は中医学で最もよく使われる補益の生薬のひとつである。中国薬典は、本種、その変種modesta、そしてCodonopsis tangshenの根をまとめてCodonopsis Radixとしており、いずれも「dang shen」として流通している。

Codonopsis pilosulaに日本語の名前はありますか?

標準和名はヒカゲノツルニンジンで、根は生薬名の党参(トウジン)として知られているが、本記事では学名を主名称として用いている。国際市場では「dang shen」の名で流通しており、ここでは市場での呼称として挙げるにとどめる。poor man’s ginsengを直訳したような呼び名は、英語の愛称を借りたものにすぎない。また、本種は近縁ながら別属であるCampanumoea属の植物と市場で取り違えられることもある。

Codonopsis pilosulaの伝統的な用途は何ですか?

中国の伝統では、この根を補気薬として、疲労、食欲不振、息切れ、虚弱に伴う咳に用いるほか、病後の養生のためのスープにも使う。実験室研究や動物実験では免疫調節作用、抗酸化作用、胃の保護作用が調べられているが、これらの知見は信頼性の高い臨床試験でまだ確認されていない。

Codonopsis pilosulaは高麗人参の代わりになりますか?

伝統的にCodonopsis pilosulaはPanax ginsengより穏やかな補益薬とみなされ、高麗人参に帰せられる強い刺激作用を避けつつ活力を支えたい場合に、より手頃な代替として一部で用いられてきた。両者の根は同等ではなく、どちらを選ぶか、あるいは併用するかは、医療専門家と相談して決めるべきである。

Codonopsis pilosulaを避けるべきなのはどんな人ですか?

妊娠中および授乳中の安全性に関するデータは不十分であるため、これらの期間には使用を避けることが推奨され、糖尿病の薬を使用している人は、低血糖が相加的に生じるリスクがあるため注意が必要である。高熱のある人、急性の状態にある人、中医学でいう熱の兆候がある人も避けるべきであり、この根を処方された医学的治療の代替として用いてはならない。

Codonopsis pilosulaは伝統的にどのように調製されますか?

古典的な方法は、薄切りにした乾燥根を弱火で30分ほど、あるいはそれ以上煮出す煎じ液で、補益の食材としてスープや煮込み料理にも使われる。国際市場にはカプセル、エキス、チンキもあるが、適切な量は専門家の指導のもとで決めるべきである。

ご注意: 本コンテンツは情報提供を目的としており、医療専門家の助言に代わるものではありません。薬用植物を使用する前に、特に妊娠中、授乳中、または薬を服用中の場合は、医師または専門家にご相談ください。

参考文献

引用文献 6件

エビデンスレベル: 🥈 中

6件の引用文献 (6 査読済み)に基づく。

  1. PMC2018 Gao SM, et al. Traditional uses, phytochemistry, pharmacology and toxicology of Codonopsis: A review. J Ethnopharmacol. 2018.
  2. PMC2009 Li CY, et al. Quality assessment of Radix Codonopsis by quantitative nuclear magnetic resonance. J Chromatogr A. 2009.
  3. PMC2024 Liang W, et al. Codonopsis radix: a review of resource utilisation, postharvest processing, quality assessment, and its polysaccharide composition. Front Pharmacol. 2024.
  4. PMC1988 Liu T, et al. Perlolyrine: a beta-carboline alkaloid from Codonopsis pilosula. Planta Med. 1988.
  5. PMC1997 Wang ZT, et al. Investigations on the protective action of Condonopsis pilosula (Dangshen) extract on experimentally-induced gastric ulcer in rats. Gen Pharmacol. 1997.
  6. PMC2022 Yue J, et al. Characterization of Codonopsis pilosula subsp. tangshen plastome and comparative analysis of Codonopsis species. PLoS One. 2022.
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